病院の特徴
病院の特徴
 

地域のお産を守るために / 概要

地域病院産婦人科医療の地域連携機能分担
平成19年4月に県立大船渡病院と県立釜石病院の拠点化・集約化をおこないました。この集約化に私たちが提案したのは、地域における機能分担と連携でした。これまで全国でおこなわれてきた拠点化・集約化は一方の病院が産婦人科休診になるのですが、機能分担と連携を強化することで地域住民に継続して産婦人科医療を提供する試みを始めました。つまり、地域周産母子医療センターである岩手県立大船渡病院はハイリスク妊娠に対応し、岩手県立釜石病院ではローリスク妊娠に対して院内助産システムで出産を継続する仕組みです。

地域連携機能分担システム
県立大船渡病院(地域周産母子医療センター、479床)・県立釜石病院(地域総合病院、272床)の平成19年度の分娩数は、県立大船渡病院558件、県立釜石病院380件です。両病院間の距離は46.6kmで移動時間は約1時間です。しかし、リアス海岸特有の山岳地形でぐねぐねの峠道を四輪駆動車で移動しなければなりません。ですから、緊急時に備えてスムーズな連携システムが必要になります。
妊婦情報は専用線でファイルメーカーサーバーにてリアルタイムで共有しました。必要なカテゴリーを定義し、すべての情報をリアルタイムで共有することができます。緊急搬送の際に情報伝達がスムーズにおこなわれます。
連携を強化するために釜石病院・大船渡病院連携会議を3回開催して病院間の垣根を低くする努力をしています(写真)。また緊急事態を想定したシミュレーションもおこなっています。

拠点化・集約化後8ヶ月の状況
平成19年9月から平成20年4月まで、186例の分娩のうち、161例の院内助産システムでの分娩を取り扱いました。うち9例が県立大船渡病院へ救急搬送となりました(表1)。幸いトラブルなく良好に救急搬送されています。しかし、院内助産師システムのみ取り扱っていても、救急患者やハイリスク妊婦は受診します。院内助産師ステム以外で搬送した症例の中には重症である常位胎盤早期剥離が1例あり、また、搬送する余裕がなく帝王切開を試行した常位胎盤早期剥離が1例ありました(表2)。ですから、よりスムーズな搬送システムと緊急時のシミュレーショントレーニングが必要になります。

まとめ
岩手県のように産婦人科医師過疎地域・交通アクセスの悪い地域での施設集約化をすすめるには、ローリスク妊婦を取り扱う施設とハイリスク妊婦を取り扱う施設の機能分担を明確にして、地域病院では助産師による助産師外来・院内助産システムを運営し、センター病院ではハイリスク分娩に対応できるように産婦人科医師を集中し、お互いに連携するシステムを構築すべきでしょう。そして、総合病院へのマンパワーの提供・ITによる情報共有・救急搬送システムが新しい地域連携機能分担システムの構築 に必要となります。 今後の課題として、安全性の長期的な検証と費用効果の検討が必要と思われます。

地域周産期機能分担モデル

釜石病院・大船渡病院連携会議
専用線によるリアルタイム情報共有
 

院内助産システムからの救急搬送症例

平成19年9月 妊娠週数 分娩様式 アプガー1分値 アプガー5分値
前期破水・羊水混濁 40週3日 帝王切開 8 9
骨盤位・前期破水 35週1日 帝王切開 8 9
平成19年10月 妊娠週数 分娩様式 アプガー1分値 アプガー5分値
前期破水・分娩停止 40週5日 帝王切開 8 9
微弱陣痛 41週0日 帝王切開 8 9
平成20年1月 妊娠週数 分娩様式 アプガー1分値 アプガー5分値
異常胎児心拍パターン 39週3日 帝王切開 7 8
平成20年2月 妊娠週数 分娩様式 アプガー1分値 アプガー5分値
破水・微弱陣痛 39週4日 吸引分娩 9 9
前期破水・分娩停止 39週5日 帝王切開 8 9
平成20年4月 妊娠週数 分娩様式 アプガー1分値 アプガー5分値
破水・異常胎児心拍パターン 40週2日 帝王切開 8 9
異常胎児心拍パターン 39週5日 自然分娩 8 9

院内助産システム以外からの搬送症例(8ヶ月間)

切迫流産 1例
子宮頚管無力症 8例
切迫早産 12例
双胎 3例
常位胎盤早期剥離 1例
前期破水 5例
妊娠高血圧症候群 5例
異常胎児心拍パターン 1例
胎盤機能不全 1例
羊水過少 3例
子宮内胎児死亡 1例
子宮内胎児発育不全 1例
選択帝王切開 33例
肥満妊婦 1例
本人希望 2例
予定日超過 6例
婦人科疾患 29例

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